正月明けに、不覚にもインフルエンザに罹ってしまった。A型との判定で、タミフルを処方され、5日間の安静を指示された。
今年は流行のピークが早く、例年よりも3週間程度、早まっているとのこと、皆さんも十分に注意してください。 県の医療機関定点調査では、今年第2週で患者数が2,437人、一医療機関あたり、30.91人と警報レベルを超えています。
風邪とインフルエンザの違いは周知されてきました。患者の咳やくしゃみから飛び散ったインフルエンザウイルスは、空気中を漂って新しい宿主を探します。ともかく非常に伝播力が強く、増殖が速い。一個のウイルスが、一日で百万個以上に増えるそうです。国内で毎年数百万人の感染者が発生し、一~三万人が死亡しています。毎年流行し、一万人単位もの犠牲者を出し続ける感染症はインフルエンザ以外には存在しません。まさに恐るべき疾病です。
インフルエンザウイルスは遺伝子の修復機能を持ちません。突然変異しやすく、毎年流行するウイルス株が異なります。このために毎年違ったワクチンが必要となってくる。車のマイナーチェンジが毎年行われているイメージでしょうか。 一方、新型インフルエンザは、季節性インフルエンザとは全く違います。水鳥を宿主とするウイルスが突然強毒性に変異し、鳥自体を殺してしまう鳥インフルエンザウイルスが、人の細胞への受容態を持つように変異し、人―人感染するようになったウイルスが新型インフルエンザウイルスです。さしずめ、トヨタの水素自動車「MIRAI」が突然出現するようなものです。
新型インフルエンザの猛威は、過去にも数十年単位でパンデミックを引き起こしています。1918年のスペインかぜ、1957年のアジアかぜ、1968年の香港かぜ、1977年のロシアかぜ、などがあります。 現在人類は、この新型インフルエンザ大流行の谷間にいるにすぎません。この谷間の状況も、感染した鳥の速やかな処分による鳥インフルエンザ対策によって、かろうじて保たれているのでしょう。人口密度の増加、高速大量輸送時代の今日、パンデミックは不可避です。
国内でも、昨年から今年にかけて、宮崎県で2件、山口県で1件、岡山県で1件合計で4か所の養鶏場でとりインフルエンザが発生し、鳥の大量の殺処分が行われました。新型インフルエンザの前触れとならないよう祈っています。
私は昨年の3月まで、パンデミック対策、行動計画策定の総責任者でした。 わずかな金と時間を惜しんで、ワクチン接種を受けなかったことに忸怩たる思いです。
※ このコラムは執筆者の個人的見解であり、公益財団法人ふくしま自治研修センターの公式見解を示すものではありません
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