2015.3.31
  「お地蔵さん」

                                         参事  村上 俊広


  ふくしま自治研修センターの住所は「福島市荒井字地蔵原乙15番の1
  お地蔵さんのいる原っぱである。
 「地蔵」の意味を調べると「釈迦の没後、弥勒仏が出現するまでの無仏の期間、六道で苦しむ衆生を教化・救済する菩薩」(大辞林)とある。
 お釈迦様が亡くなり、数十億年後に弥勒仏が現れ、生命のあるもの全てを救うまでの間、6つの世界で生死を繰り返す生きものを救うのがお地蔵さんである。
  お寺にお参りに行くと、6体のお地蔵さんを見かけることがあるが、6つの世界で苦しむ生きものを救う各界のお地蔵さんなのだ。
  昔話の「笠地蔵」に出てくるお地蔵さんもそうである。おじいさんの持っている笠は5つ、1つ足りないので、おじいさんが被っていた笠をお地蔵さんに被せた。確かに6体のお地蔵さんがお礼にきてくれたのだ。

 荒井地区のお寺に安置されているお地蔵さん(大竹地蔵尊)の民話を紹介する。
 「今から約400年前、荒井地区に住む子供が病気になった。一向に良くならないので仏様にお願いしたところ『荒川に地蔵様がいるのでお願いしてみろ』と言われた。さっそく、荒川に行ってみると、お地蔵様が川の中の泥に埋まっていたので、掘り起こし、大竹というところにお堂を作り安置した。毎日、地蔵様にお願いしたところ、子供の病気はすっかり良くなった。それ以来、村人は、お地蔵様を『子育て地蔵』と呼ぶようになった」と言い伝えられている。

 今の社会では、人とお地蔵さんとの関わりはとても薄くなってしまった。道幅の広い道路を車で移動していると、お地蔵さんに会うことは滅多にない。
 ただ、センターの周辺を歩いてみると、よくお地蔵さんに会うことができる。国道沿いや旧道沿いの少し奧に入った場所に、赤い帽子を被ったお地蔵さんが安置されている。目立つ場所ではないけれど、陰ながら子供たちの健康を昔も今も変わらず守ってくれている。

研修の合間に、お地蔵さんのいる原っぱをのんびりと散策してみてはいかがでしょうか。きっと、ほっとする気持ちになれますよ。


※ このコラムは執筆者の個人的見解であり、公益財団法人ふくしま自治研修センターの公式見解を示すものではありません