私は平成26年4月から、河沼郡湯川村より福島市内にある「公益財団法人ふくしま自治研修センター」に派遣されています。故郷を離れてみて(大袈裟ですが)気づいたこと、わかったことがいくつかありましたので、そこをふまえて、このコラムでは、ふるさと湯川村について語ってみたいと思います。
まず「湯川」の読み方ですが、意外にも「YUKAWA」と発音する方が多いことに驚きます。特に首都圏で。正しくは「YUGAWA」と濁ります。
湯川村は昭和34年に笈川(おいかわ)村と勝常(しょうじょう)村とが合併してできた村であり、その時ちょうど両村を跨いで南北に流れていた川が「湯川(YUGAWA)」で、その川の名をとって湯川村と名づけられました。
なお、この「湯川」は会津若松市にある有名な温泉「東山温泉」から流れている川であります。関東圏の人が「湯川村」のイメージとして会津の山奥にある温泉村と勘違いするのも一理あるわけです。
位置的には、北にラーメンで有名な喜多方市、南に白虎隊・鶴ヶ城で知られる会津若松市に接する会津盆地のほぼ中央にあります。そのことから湯川村は全国的にも珍しい山がない自治体でもあります。
さて、そんな湯川村ですが、県内の人はもとより、会津人でも「どこにあるの?」と首をかしげる人が見受けられます。それは当然と言えば当然の理由がありまして、湯川村は、福島県一小さな自治体で、面積は16.36㎢しかないからです。車で走行しているといつの間にか通り過ぎているということが間々あります。
つぎに湯川村のセールスポイントをご紹介したいと思います。
湯川村のキャッチフレーズは「米と文化の里」であり、とにかくお米が美味しいことが自慢です。最近では「ふるさと納税」(注1)によるPR効果もあり、知られるようになってきましたが、その食味(お米の味を数値で評価したもの)の高さは「新潟魚沼産コシヒカリ」と互角の数字をはじき出しております。これは農家の個々の努力はもちろんのこと、会津盆地特有の気候(昼夜の寒暖の差が大きい)、稲作に適した良質な粘土質の土壌が影響しているものと考えられます。
村では、村民がこぞって朝ごはんに湯川村産米を食べることによって、米の消費拡大に寄与するとともに、村民の健康増進を図るため、平成27年1月に「湯川村朝ごはん条例」(注2)を施行しました。ただ「朝食は湯川米で!」とは言っても朝は何かと忙しく、また起きがけで食欲はなかなかおこらないので、「朝食レシピコンテスト」を実施し、簡単・ヘルシー・美味しいメニューを作り、朝ごはん運動を進めております。
もうひとつの自慢は、国宝3躯、国指定重要文化財9躯を有する「勝常寺」です。なお、国宝の仏像が所蔵されているのは福島県内では勝常寺のみであり、その範囲を東北地方に広げても金色堂で有名な岩手県平泉町の中尊寺のみと、その貴重さが理解していただけると思います。
勝常寺は、大同二年(807年)弘法大使の論敵として有名な法相宗の碩学「徳一上人」によって開かれた東北を代表する古刹であります。
建立当初は、七堂伽藍が備わり、盛時には多くの附属建物が建ち並んで十二の坊舎と百余カ寺の子院を有する一大寺院であったと伝えられており、現在の先祖供養をおこなう仏事中心の意味合いは薄く、今でいう総合大学のような様相を呈していたようです。
このように湯川村は「米」と「文化」の里であることを知っていただけたかと思います。
最後に、私が個人的にオススメする湯川村のスポットをご紹介したいと思います。
ひとつ目は、昨年10月にOPENし、賑わいが続く「道の駅あいづ 湯川・会津坂下」(注3)です。道の駅には、新鮮地場野菜や湯川米が購入できる「農産物マーケット」や、会津のこだわり物産が多数揃う「物産館」、そして地元産野菜をふんだんに使った料理が食べられる「農家レストラン」の3つのエリアがあり、五感で楽しめるスポットとなっております。
 
(農産物マーケット) (物産館)
もうひとつは、道の駅からほど近いところにある食堂「おおつか」です。
「おおつか」では、湯川米はもちろん、湯川米を使って作られたお酒「瑠璃光」も飲むことができます。私のオススメは、甘辛いソースと豚カツそして艶々の湯川米の3重奏が奏でる「ソースかつ丼」です。湯川村佐野地区(国道49号沿い)にお店がありますので探してみてください。
 
(「おおつか」店舗入り口) (絶品ソースカツ丼)
以上のように、湯川村の紹介をさせていただきました。湯川の美しいふるさとの風景と奥深い歴史、そして新鮮で美味しい野菜やお米を堪能しに湯川に来てみませんか。
ぜひ湯川村に来てくらんしょ!
(注1)
○ 湯川村への寄付(ふるさと納税)のご案内
(http://www.vill.yugawa.fukushima.jp/kikakuzaisei/hometown_tax_2.html)
(注2)
○ 「湯川村朝ごはん条例」
(http://www.vill.yugawa.fukushima.jp/data/open/cnt/3/382/1/asagohan.pdf)
(注3)
○ 道の駅あいづ(湯川・会津坂下)ホームページ
(http://www.heso-aizu.jp/)
※ このコラムは執筆者の個人的見解であり、公益財団法人ふくしま自治研修センターの公式見解を示すものではありません
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