先日、当センターで行われた新規採用職員(後期)研修において、株式会社福島ガイナックスの浅尾代表取締役の講演が行われ、伊達市観光PR用アニメ「政宗ダテニクル」の制作に係るエピソードについて話をされていました。
アニメの舞台は伊達家発祥の地である伊達市ですが、アニメの主人公「政宗」のモデルである伊達政宗は伊達家17代当主であり、仙台藩の初代藩主です。伊達政宗自身は山形県米沢の出身ですが、正室の愛姫は三春藩の姫であり、一時、会津を治めていたこともあるなど福島にゆかりのある武将です。
伊達政宗というと今でこそ全国的に有名な武将ですが、かつては今ほどの知名度は無かったように思います。その名を一躍有名にしたのが、NHKの大河ドラマ「独眼竜政宗」ではないかと思います。
「独眼竜政宗」は、1987年(昭和62年)に放映されたNHKの大河ドラマであり、全50話で伊達政宗の生涯を描いております。
主演の政宗役は、今やハリウッドスターである渡辺謙が演じており、人間くさい部分も含めて伊達政宗の生涯を見事に演じております。
渡辺謙はその前年に放映された連続テレビ小説「はね駒」で主人公(斉藤由紀)の夫役を演じており、その際の演技が認められ、大河ドラマの主役に抜擢されたと言われております。なお、「はね駒」の舞台は相馬市であり、撮影の時はちょっとした騒ぎになっていたことを記憶しております。
「独眼竜政宗」では脇を固める俳優陣も豪華絢爛です。正室の愛姫役が桜田淳子、政宗の家臣である片倉小十郎役が西郷輝彦、伊達成実役が三浦友和、父の照宗役が北大路欣也、母の義姫役が岩下志麻、豊臣秀吉役を勝新太郎が演じておりました。
特に勝新太郎の存在感がすごく、小田原において秀吉と政宗が初めて出会うシーンは印象的でした(当撮影にはエピソードがあり、撮影前にあいさつに行こうとした渡辺謙に対し、勝新太郎が「政宗と秀吉が小田原で初めて出会うのであれば、撮影までは会わない方が良い」と伝え、撮影まで二人が会わないよう調整が行われ、二人が初めて出会ったのは撮影本番だったとのことです)。
出演者それぞれに存在感があり、錚々たるキャストによって物語は展開していくわけですが、共演者との絡みや年齢に応じた渡辺謙の演技は圧巻の一言です(とても20代とは思えないくらいです)。
当時、私は学生でしたが、毎週、見るのが楽しみでしたし、それまであまり興味の無かった歴史に興味を持つようになったきっかけでもあります(受験では日本史を選択しました)。
また、バブル景気の初期で国全体が高揚感に満ちていたということもあり、仙台市には多くの観光客が訪れ、その年の「仙台・青葉祭り」は前年の3倍、過去最高の観光客数を記録しております。地域に与える経済効果は大きく、大河バブルと呼ばれる経済効果の先駆けとなった作品と言われております。
その後、大河ドラマはご当地のヒーローを扱った作品が多くなり、その舞台となった地域では自治体や地元団体等による地域の活性化の取り組みが行われ、多くの観光客が訪れるなどの盛り上がりを見せております。
また、「伊達政宗」は、その後、アニメやゲームで多く取り上げられ、戦国大名の中で高い人気を得ており、「独眼竜政宗」で渡辺謙が演じた政宗像が少なからず影響を与えているのではないかと思います。
歴代の大河ドラマの中で、最高平均視聴率39.7%を記録し、視聴者のアンケートにおいても最も好きな大河ドラマに選ばれるなど大河ドラマの最高傑作と言われる「独眼竜政宗」は記録にも記憶にも残る作品ではないかと思います。
※ このコラムは執筆者の個人的見解であり、公益財団法人ふくしま自治研修センターの公式見解を示すものではありません
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