2016.7.22
  「奇想天外な婚活、少子化対策」

                                総括支援アドバイザー兼教授 吉岡 正彦


 これまで増加し続けてきた日本の人口は、2008年の1.28億人をピークに減少傾向に入り、今後とも減少し続けて2050年には1億人を切る見込みである。
 このような動向は歴史的に未知の事態であり、同時に少子高齢化傾向も進んでいることから、全国的な空き家の増加、義務教育施設の統廃合あるいは地域コミュニティの維持困難、他方で社会保障費の増加など、すでにさまざまな局面で社会にひずみが顕在化している。

 このため、国や全国の自治体で、少子化対策を中心に人口増加対策が進められているが、その多くが、保育園・幼稚園整備、ワークライフバランスの推進、子どもの医療費免除や出産祝い金支給、あるいは転入・移住を呼び込むための住居や資金支援など、ほぼワンパターン化している。
 なにか新しい、奇抜な対策はないかと悩む国や自治体職員も少なくないと思われるが、そんななか、2016年6月18日にフジテレビ系列で放映された土曜プレミアム『ニッポンのノビシロ』を、面白く見た。この番組では、さまざまな国の外国人30名が集まり、自国で行われている婚活や少子化対策など、日本を救うアイデアが提案されていたので、紹介してみたい。

 番組では、2015年10月に発表された日本の生涯未婚率(50歳の時点で一度も結婚したことがない人の割合)は、男性はおよそ4人に1人(22.77%) 、女性はおよそ7人に1人(13.32%) を占め、年々上昇傾向にある。さらに出生率は188か国中173位(2013年)と低い水準にあるという紹介があり、結婚率低下と少子化を解消するアイデアや提案が話題として取り上げられた。

 まず、ブルガリアのペトロフさん(男性)によれば、ブルガリアでは、25~29歳の独身者は所得の5%、30歳~49歳は同10%を、独身税として徴収している(50歳までが課税対象)。その結果、一時的に出生率が上がったとのこと。
 一方、結婚して子どもを3人以上生んだ世帯には、奨励金などのかたちで還元している。

 デンマークのアンナマリアさん(女性)によれば、デンマークには、結婚率低下を防ぐ儀式がある。それは、25歳までに結婚しなかった独身者は男女関係なくシナモンをかけられて、独身者に目印を付けるというものだ。映像では、全身にシナモンをかけられて息も苦しげな若者たちが映っていた。
 これは400年の歴史をもつデンマーク流の婚活術で、町なかで行われることが多いので、独身者であることのわかりやすい証明になる。さらにシナモンをかけられると一週間くらいはその臭いが抜けないことから、独身男女が交際するきっかけの役割も果たしている。絶好のアピール・チャンスになっているとのことだ。

 フランスのリーニーさん(男性)からは、フランスのあるデパートでは、毎週木曜日の夜のイベントとして、交際を求める独身者は、専用の紫色のカゴを持って買い物をする。そのカゴを持つことで、男女の出会いの場として活用されている。なお、その場では、シャンパンは無料で飲めるとのこと。デパートとしても、集客効果に期待しているわけだ。

 中国の周さん(男性)からは、10年前から始まったが、上海の公園では独身の子を持つ親同士が、子どもの家がら、学歴、収入、資産、容姿などを書いた紙を貼った傘を広げて公園に集まり、代理のお見合いをしている。なんと、一万人以上の規模で実施されているとのこと。
 ただし大きな問題として、親同士が熱心になるあまり、若い本人たちの意思が後回しにされてしまうことがあるらしい。

 コートジボアールのベルナールさん(男性)からは、コートジボアールでは、宗教上、成人になるまで自由恋愛が禁止となっている。そこで、シャイで口べたな若者が少なくないことから、本人に代わり、代行人が写真や手紙を渡したりして女性を口説いているとのこと。代行人を立てると、結婚した後は別れにくくなるという効果もあるそうだ。
 日本でいえば、「世話好きな近所のおばさん」に似た役割といえるかもしれない。

 ブラジルのシモネさん(女性)によれば、ブラジルでは、未婚の男女がお試しで何人ともお付き合いするフィカというという行為が認められている。シモネさんは、その効用を、好きなアイスクリームを選ぶ場合でも、イチゴ味、チョコ味などいろいろと試してみることで、本当に好きな味の選択ができるのではないか、とたとえて話した。
 複数の恋人と付き合うとなると、慎重になりがちな日本人とは国民性の違いが感じられ、もし日本で普及させるためには「国民性の殻」を破る必要がありそうだ。

 韓国のテガンさん(男性)からは、韓国の大学では、授業でデートの練習をしている、とのことだ。カップルはくじ引きで決められるため、好みではない人同士でも、会話のしかたなど、授業としてまじめにデートをすることになる。しかし、最初はそうであっても、その後には本気でつきあうケースも続出しているという。

 スペインのマリーサさん(女性)からは、国民全体で盛り上がるイベントを増やしてはどうか、という提案だ。スペインでは、サッカーのワールドカップで、FCバルセロナが優勝したとき、その9か月後には、出生率が16%も上がったとのこと。
 参加していたブラジル女性からも、リオのカーニバルの時に、子どもができやすいと賛同する発言があった。

 また、ニュージーランドのジェシカさん(女性)は、日本では出産するときに出産費用が必要と知って、驚いたという。ニュージーランドでは、すべて国が負担するので、無料が当たり前とのこと。日本では有料なので、ジェシカさんは、出産費用で困っている人たちがいるのではないか、と心配していた。
 日本では、健康保険などのかたちで、後からそれなりの額が補填されるケースが多いように思うが、いかなる場合でも出産は無料とした方が、確かにわかりやすい。

 最後に、デンマークのアンナマリアさん(女性)から、デンマークでは、ある旅行会社がツアーのなかで子づくりに成功したら、プレゼントをしているという。
 行っているのは旅行会社のシュピースで、子づくりはデンマークを救うのか、という同社による衝撃的なテレビCMが紹介された。
 そのCMによれば、旅行中にできた子どもは国全体の10%を占めている。その理由としては、カップルが旅行に出て新しい経験をすると性欲が高まり、子づくりに励むらしい。旅行期間での出生率は、通常時と比べて1.5倍に高まっているという。
 そして、もし旅行中に愛を育み、子どもを出産したことが証明できた場合には、3年分のベビー用品や子連れ旅行が抽選で当たるという。
 そんな企画を提案する旅行会社が、日本でも出てこないものだろうか。

 以上に紹介したように、国や国民性が異なれば、奇想天外な対策(ノビシロ)があるものだと、とても感心した。まさに、事実は小説より奇なり、ということだろう。
 もちろん、日本でそのまま適用するのは難しい提案もあるように思うが、まずは「国による出産費用の無料化」「大学の授業にデートの取り入れ」など、実現できそうな事例から検討してみてはどうだろうか。
 あるいは、ビッグイベントとまちコン(出会いの場)を組み合わせて企画することで、婚活チャンスを盛り上げるような工夫を加えても面白いのではないか。
 また、婚活や子づくり支援に関して、国や行政の力だけでなく、さまざまな形で民間や地域の力が活用できる事例を知ったことで、視野や発想が広がったように感じた。
 なお、この番組はバラエティとして放送されたことから、参考にする場合にはさらに詳細な情報収集が必要だろう。また、婚活や少子化対策のほかにも通勤ラッシュの緩和策、飲酒運転防止策、選挙投票率アップ策、道路冠水対策ほかについても、奇想天外なアイデアや提案があり、ずいぶんと楽しめた。

参考資料:
フジテレビ系列、土曜プレミアム『ニッポンのノビシロ』、2016年6月18日(土)21時30分~23時40分
(キャスト)MC:坂上忍、東野幸治、ゲスト:坂下千里子、杉村太蔵、ぺえ、進行:山崎夕貴(フジテレビアナウンサー)
番組URL:http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2016/160613-223.html


※ このコラムは執筆者の個人的見解であり、公益財団法人ふくしま自治研修センターの公式見解を示すものではありません