2017.10.11
  「ワークライフバランス」について思うこと

                                           主任主査 渡辺 智雄


 
ここ数年の間で、いわゆるブラック企業の存在や、過度な労働環境に耐えかねて命を落としてしまう若者が社会問題化していることで、「ワークライフバランス」がクローズアップされていることは誰もが周知のとおりです。
 私が入庁する前に勤めていた某企業(販売会社)は、同期に入社した営業職社員の半数以上が辞めていく典型的なブラック企業でした。そこに入社した当時、私は、「ストレスがない職場なんてあり得ない。ストレスがなければ会社も社員も成長しない。」といったことをしきりに言われていました。
 また、当時、温水機器を特に必要としていない高齢者世帯に強引に契約させて社会問題となっていた某企業を引き合い出し、「○○会社のしたことは違法であったかもしれないが、そのバイタリティは、我が社も見習わなければならない。」とも言われており、今でいう「コンプライアンス(遵法精神)」の意識がとても薄い会社であったなと感じています。
 今思えば、ストレス(高い目標、ノルマ)がなければ売上が上がらないし、社員も、より高い目標、ノルマを掲げてストレスを感じなければ、売るための工夫や努力をしないのだといったことを言いたかったのだと思います。
 しかしながら、それを錦の御旗として、利益を追求するためならば、法律に触れない程度のグレーなやり方でも推奨され、職場の労働環境や社員の健康状態などにはほとんど配慮がなく、このストレスに耐えることができない者はどんどん辞めていき、新しい駒(労働力)が補充されていくことが繰り返されているような会社でした。
 その当時から20年あまりが経過し、少子高齢化が加速度的に進む現代においては、こうした「労働者の使い捨て」といったビジネスモデルは、もはや存在できなくなっていると思います。労働を担い、地域のコミュニティの存続を担う年齢層が減少している今、一人一人の労働者が大事にされ、ワークライフバランスがクローズアップされてきているのは当然の流れであると思います。
 現在のところ、ワークライフバランスやコンプライアンスを重視することが、政府や企業側にとっての労働力確保や企業イメージを守るためのツールとして使われている感も否めませんが、ワークライフバランスが本来の目的のとおり、労働者そのものが大事にされ、女性の社会進出や誰もが生きやすい社会の創出が加速するための契機となってくれればいいなと考えています。


※ このコラムは執筆者の個人的見解であり、公益財団法人ふくしま自治研修センターの公式見解を示すものではありません