空き屋となった実家の片付けの次いでに、昨年から野菜作りを始めた。何しろ全くの素人である。野菜毎の植え付け時期を調べ、牛糞と石灰をまいて鍬で畑を耕し、結構な種類の野菜を植え付けたのだが失敗の連続であった。
まず、4月に植えたキュウリの苗が霜にやられて全滅してしまった。仕方なくまた新しい苗を買ってきて植え直しとなった。時期が早すぎたのかもしれない。それから、なす、トマト、ピーマン、長ネギ、里芋、トウモロコシ、秋には大根、かぶ、白菜、にんにく、タマネギなどなど結構労力も金もかかった。キュウリ、なす、トマトの収穫はまあまあではあったが。
野菜づくりは、雑草と虫との戦いである。まめに虫を駆除していないと、葉ものはすぐに穴だらけになってしまう。草取りはやってもやってもきりがない。 農家の苦労が身にしみてわかった次第である。
もう一つ想定外のことがあった。畑は県道に面しているので、顔見知りの近所の農家のおっさんがしょっちゅう軽トラで通りかかる。にやにやしながら雑談をしていくのである。遊び半分で始めたので成果はあまり期待はしていなかったのだが、いつも見られていると思うとかなりのプレッシャーになってしまった。あんまり下手なことはできない。生育が悪く気の毒に思うのか、時々自分の畑から立派な野菜を届けてくれる。餅は餅屋だなあと実感させられた。
やっぱりプロの農家から貰って食べるのが一番楽でいいが、形は悪くとも自分で苦労して育て収穫した野菜の味は格別である。
お願いはしてないのに(ほっといてほしい)おっさんからの指導もたびたびあった。堆肥をもっとたくさん入れて(どうやって作る?)30センチは耕すこと。まず土づくりが大切なのである。乾燥や寒さを防ぐためには、マルチ栽培や藁をしくこと、その土地の気候、風土にあった時期に植え付けたり、種を蒔いたりすること、土かけ、水やり(やりすぎて甘やかすのは不可)、追肥など手間を惜しまないことだという。えらいことを始めてしまったと後悔しきりである。
4月から私の野菜作りも新年度の研修もスタートする。震災後の職員の大量採用はまだ続いている。各自治体とも行革による人員削減や震災からの復興創生、新たな事業への対応など若手職員をじっくり育てていく余裕がないようだが、野菜と同じく放っておいてもかってに育つものではない。いくら立派なウイルスフリーの苗でも育てる環境や手間をかけなければ満足には育たない。人材の育成は野菜作りに通ずるものがあるように思えてならない。
※ このコラムは執筆者の個人的見解であり、公益財団法人ふくしま自治研修センターの公式見解を示すものではありません
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